『NTTアーバンソリューションズグループ』は、地域社会が抱えるさまざまな課題に対して地域で暮らす人々の視点で向き合いながら、ICT、不動産、エネルギー、環境などのリソースを活用して課題解決をサポートしつつ、活気ある街づくりを推進している。中でも、地域特性をベースにした都市デザイン、コミュニティ形成などの領域で、調査分析、データベースの運用、構築サービスを提供しているのが『NTTアーバンソリューションズ総合研究所』だ。街づくりに関する調査・分析やレポート発行、自治体・企業向けセミナー・大学での講座などを通して広く情報を発信している。
「人が主役の街づくり」を目指すうえで大切なのは、「まちと向き合う目線」。幅広い情報収集力と本質を見定める分析力、そして豊かな発想力が求められるが、同社ではいち早くAIテキストマイニングツールを調査・分析業務に活用している。ここでは、街づくりリサーチ部(以下、リサーチ部)の大島一夫氏と坂巻哲氏、街づくりデザイン部(以下、デザイン部)の林正樹氏に、導入の背景、そして活用方法など幅広くお話を伺っていく。
地域住民の目線を捉えたうえで、人が主役の街づくりを提案する『NTTアーバンソリューションズ総合研究所』。街づくりのビジョンやコンセプトの提案を行う前段階として、それぞれのまちが抱えている課題やポテンシャル、風土・歴史、行政資料といったあらゆるリサーチが求められる。
「まちの規模によっては地方自治体だけでなくエリアや地元企業などの声を聞きながら進めることもあります。まちを盛り上げるためには何が必要かを知るための基準や下地となる情報がとても重要なのです」(林氏)と、地域で暮らす人々の声も街づくりには欠かせないファクターだ。
一方で、こうしたさまざまな資料やインタビューの声など、膨大な資料分析には労力と時間がかかる上、リサーチャーによってはバイアスがかかってしまう懸念もある。 同社ではフラットかつ的確にデータを精査し、チームや社内でもしっかりと共有できるテキストマイニングツールを求めていた。「街づくりにおいては、数値的な情報だけでは実際の課題やポテンシャルを発見しきれていないと感じていました。そうした中で、セキュリティ面での信頼性の高さがありつつ、AIなど先進的な取り組みをしているユーザーローカル社を知り、AIテキストマイニングツールを試すこととなりました」と坂巻氏。
「膨大な資料でも文字化けやバグが出ることなくきちんと扱えることはもちろんですが、管理画面の快適な操作性、そして見やすいレポーティング機能と私たちが魅力を感じる要素が多くありました。協働することの多いデザイン部をはじめ社内グループ間での合意形成にも繋がると感じました」(大島氏)。
こうした複数のメリットを決め手に2024年から導入・運用をスタート。ここでは、同社でのテキストマイニングツールの機能性を活用事例とともに紹介していく。
AIテキストマイニングツールで利用可能な「ワードクラウド」は、資料に頻出する単語の特徴度を文字のサイズや色で視覚的にキャッチできる。大島氏は「頻出するフレーズも大切ですが、地域や街が大切にしているキーワードが目立たず隠れていることもあります。そうしたいわゆる“ハズレ値”も拾うことができるのは魅力です」と話す。AIテキストマイニングツールでは、出現回数だけではなく特徴度を加味して、重要な単語をスコアとともに提示できる。
大島氏によれば、アフターコーディングAIという生成AIを使用した自動ラベリング機能も「非常に有効」だという。「分類ラベルの提案もしてくれるし、最初に大まかな分類分けをしてくれるので重宝しています。やはり人が作業すると少なからず恣意的なものに影響されますが、まずAIにフラットに分類させて、そこから人間の手でチューニングしています。これまで丸1日かかっていたような作業もかなり軽減されています」(大島氏)
テキストマイニングやアフターコーディングにより「資料分析のスタート地点へ効率的にもっていくことができます」(坂巻氏)という。「スコア化やラベリングされた資料を手掛かりにすることで理解が早まりますし、以前はとらえきれなかった気づきも得られています。もちろん、ラベリングされた結果のチューニングは必要ですが、ゼロから資料を読み込んでいた頃は、それだけで力尽きてしまうこともありました。膨大な資料にたいする抵抗感が軽減したのも大きなポイントかもしれません」。
さらに、「感情分析という切り口もおもしろい試みだと思います。例えば、あるエリアの公園の利用者の声を集めた際に、AIテキストマイニングを活用することで衛生面や遊具の破損、地域で重宝されている部分といった怒りや喜びの要因も見えるようになり“利用者に内在する声”が整理され可視化できたと感じています」(坂巻氏)
また、カスタム辞書機能も大いに活用。「地域によって使われる言葉・表現が違うことも多くあります。こうした地域性のある言葉を事前に辞書登録できるのでかなり役立てています。操作性が高いので簡易に、しかも細やかに登録できるので作業効率と精度が高まったように感じています」(坂巻氏)。
AIテキストマイニングツールを活用することで、何よりも資料作成にかける時間が大幅に削減された。大島氏は「資料を集めて読み込んで、大まかな分類までの作業をAIテキストマイニングである程度完結できるので、作業時間が削減され、より深い考察ができるようになったと感じています。また、行政資料やアンケートなどいろんなバリエーションのテキストデータを実験的にテキストマイニングのトライをする機会も増えたことで、これまで以上に分析の対象領域が広がったと考えています」という。
社内やチームでの資料共有も簡易になり、これまで以上にリサーチ部とデザイン部の共通認識が生まれやすくなったとも。「レポートはグラフや色分けなど明確に可視化されるので、共有すべきポイントに気づきやすいですね。AIテキストマイニングが架け橋になっています」とは、林氏。
災害リスクマネジメントに関わる調査分析を行う坂巻氏は、今後の展望として「AIテキストマイニングは、いろんなことにトライしたいと思わせてくれるツール。街づくりに活用することはもちろんですが、チャレンジできる幅が広がり、より深く考察ができると感じています。例えば今、災害による避難所や仮設住宅は多様な課題を抱えていると考えています。避難生活の声などの分析にも活用し、今後の施設計画・運用にフィードバックする…そんなこともあり得るのでは。」と、これまではトライする時間が取れなかった領域も視野に入れつつある。
デザイン部の林氏は、「街づくりをしていく上で、客観性の担保というのはずっと課題として捉えています。地域の歴史や伝統なども含めた特色とポテンシャルを生かした戦略に、地域の方々の声を生かす。そのためには、客観的なデータと戦略、そして人々の想いを街づくりのストーリーとして紡いでいくことが大切だと考えています。AIテキストマイニングでは客観的なデータと、ポジネガやスコアといった観点から想いの部分も掬い取れるのでは、という可能性も感じているので、より複合的な街づくりの指針に生かす可能性を考えていきたいです」と語る。
この話を受けた大島氏は、「そうしたデータをどのように活かすかは使い手に委ねられている、と感じています」と続ける。「これからデータはテキストを含めてますます増えていくと考えます。そこで得られたデータを活用するうえで課題は多くあると考えていますが、データの把握が効率化できたことで、これからはよりそのデータに人の想いをのせていくことも大切だと考えています」と語った。
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