機械部品や機械加工部品の販売を通して、お客さまの無駄を省き価値ある時間を創り出す〝時間価値〟の提供を掲げる株式会社ミスミ(以下、ミスミ)。同社はSNS運用の価値にもいち早く目をつけ、SNS運用分析ツール『Social Insight』を導入した。
今回は、ユーザーローカルがミスミの五十嵐公俊氏、井上力哉氏と登壇した『Web担当者Forumミーティング2025春』より、ミスミのSNSマーケティング戦略とUGC活用術についての登壇レポートをお届けする。
ミスミのオンライン機械部品調達サービス『meviy(メビー)』のSNS運用を担当する五十嵐氏。運用開始当初は、多くの企業と同様に〝フォロワー数の増加〟をKPIに設定していた。
しかし、より事業へ貢献できる運用を目指す中で、ユーザーが自ら商品の写真を投稿するUGC(User Generated Content)に着目。「SNSで話題の商品を買いたくなった自身の経験から、UGCこそが重要だと気づきました」と五十嵐氏は語る。
meviyでも、届いた部品の写真を投稿するユーザーが多かったことから、このUGCを新たなKPIとして設定。その集計・分析のために、ユーザーローカルのSNS分析ツール『Social Insight』の活用を開始した。
製造業では正確さや丈夫さといった〝機能価値〟が重視されがちだが、専門用語が多くなりがちな訴求は、その価値を既に理解している一部の人にしか届かない。また五十嵐氏は、「機能的価値だけでは、いずれ他社に追いつかれてしまうリスクがある」と指摘する。
そこでミスミが注力したのが、「この会社から買いたい」「このブランドが好き」と思ってもらう〝情緒的価値〟の醸成だ。
「投稿に情緒的価値を加えることで、より多くの人に面白い、共感できるという形でリーチが広がります。これこそがSNSならではの拡散力だと考えています」と五十嵐氏。
当初、こうした活動には社内から懐疑的な意見もあったが、直接のターゲットではない人を起点に認知が広がる事例が生まれ、社内の評価も変化したと語る。五十嵐氏は、情緒的価値の発信によって「より多くの〝打席〟に立ち、お客様との接点を増やすことが大切です」と強調した。
この考えのもと、ミスミでは各SNSの特性を活かした戦略的な使い分けを実践している。
井上氏は「Social Insightの投稿管理機能は非常に使い勝手が良く、XやInstagram、Facebookといった複数のSNSを一元管理できるのが大きなメリットです」と話す。承認フロー機能によって社内チェック体制を整えられるため、安心して運用ができる点も評価しているとのこと。井上氏は、Social Insightの活用が、効率的で安全な運用を実現していると述べた。
ミスミがKPIをフォロワー数からUGCへと大きく転換した背景には、データ分析に基づいた明確な根拠があった。
五十嵐氏は、「UGCの動向を分析した結果、その増加がmeviyにおける新規見積もり依頼数の増加と相関していることが判明しました。このデータが、UGCをKPIとして設定する決定的な理由です」と語る。
あるユーザーが「meviyで板金部品が5,000円以下、1週間で納品可能」と投稿したところ、この投稿が広くシェアされ、170万回以上のインプレッションを達成。その結果、meviyの認知度が大きく向上したという実体験も。
五十嵐氏は、SNSでの拡散が売上に与えるインパクトを可視化するためには、UGCの件数と、日別の指名検索数や見積もり件数などをグラフで比較し、関連性を分析することが重要だと付け加えた。
では、UGCを増やすにはどうすればよいのか。ミスミでは『UGCチェーン』と名付けた、UGCを起点とする持続可能なサイクルを構築している。
五十嵐氏はUGCを増やす施策の背景にあるユーザー心理について解説。「ユーザーには〝自分が良いと思ったものをSNSで紹介・シェアし、第三者や作り手である企業などから反応をもらいたい〟という思いがあります。」
このニーズに応えるため、ミスミでは現在、ユーザーの投稿に対し、いいねやリポスト、返信、ダイレクトメッセージなどを通じて、可能な限り多くのリアクションを積極的に行っている 。こうした企業からの反応が、ユーザーの「また投稿しよう」というモチベーションを刺激し、さらなるUGCの創出へと繋がる好循環を生み出している。
五十嵐氏は、一連のUGC施策を成功に導いた具体的な手法と、そこから得られた新たな気づきについて、次のように説明した。
「まず、UGCの収集・分析にはユーザーローカルのSocial Insightを活用しています 。Social Insightで『meviy』などのキーワードを含む投稿を自動で集計できるため、手作業での検索や目視確認といった煩雑な業務の負担を軽減できています。」
こうした効率的な運用の下地を整え、2022年12月から〝いいね〟やリポストで積極的にユーザーと交流を始めた結果、UGC投稿数は増加。翌2023年6月には、SNS上での『meviy』というサービス名の言及数が急増し、施策の大きな成果を実感したと語る。
さらに、SNS投稿を観察する中で、ユーザーは部品そのものよりも〝部品で構成された装置全体〟に高い興味を示すという重要なインサイトを得た。これを受け、装置全体の紹介動画を制作・発信したところ、展示会で多くの来場者が写真を撮るなど、反響は右肩上がりに伸び続けている。
この経験を通じ、五十嵐氏は「ユーザー目線でコンテンツを考え、活用することの重要性を強く認識するようになりました」と締めくくった。
最後に、セミナーの質疑応答で〝SNS運用で工夫すべきポイント〟を問われた井上氏は、企業が意識すべき点として、以下の2点を挙げた。
SNSでの活動は、売上とは直接関係がないように思われることが多い。井上氏は、SNSのインプレッション数や表示回数といった指標と、自社の指名検索数や新規の見積もり件数といった事業成果に繋がる指標の動きを照らし合わせ、その相関関係を分析・可視化することが重要だと改めて指摘した。
特にBtoB企業のSNSでは、最初から製品の機能紹介など、専門的で詳しい説明に偏りがちだが、それではターゲットが狭まってしまうため、まずは「誰が見ても楽しめる」ようなコンテンツ作りを心がけ、より多くの人に「知ってもらう」「興味を持ってもらう」というスタンスが重要だと井上氏はアドバイスした。
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