UGCが20倍以上、Xフォロワーが138%に増加。@cosme運営・アイスタイルがAIで進化させるSNS運用
コスメ・美容の総合サイト「@cosme」から、化粧品専門EC「@cosme SHOPPING」、化粧品セレクトショップ「@cosme STORE」まで、オンライン・オフラインを通貫した美容関連総合サービスを運営する株式会社アイスタイル(以下、アイスタイル)。多岐にわたるサービスの根底にあるのは、「生活者中心の市場の創造」というビジョンである。
同社がSNSに本格的に注力し始めたのは2023年頃。上司を含め、3名で立ち上げたSNSチームは、2025年からは7名体制でアットコスメ公式XとInstagramを運用してきた。ユーザーローカルとの出会いは、10年以上前に別部門が分析ツールとしてSocial Insightを導入したことに遡る。チームの発足時には他社ツールとの比較検討も行ったが、最終的に選んだのはSocial Insightの継続的な活用だった。今ではUGC分析からキャンペーン、コラボ先の選定までを支える基盤となり、ある施策ではUGCが前年比で20倍以上、公式Xのフォロワー数は直近2年間で138%へと増加している。ここでは、同社でSNS運用を担う藤井氏と加藤氏に、具体的な活用方法や得られた成果などについて伺っていく。
プロダクト・データユニット ユーザーコミュニケーション本部
@cosmeコンテンツ編成部
(2026年6月時点)
加藤千弘 氏
藤井翔平 氏
課題
SNSの役割はWebへの誘導にとどまり、キャンペーンもほとんど実施していなかった。本格運用の開始に伴い、アカウント分析やキャンペーンを一気通貫で行える点がSocial Insightの魅力だった
アイスタイルのSNSチームはアットコスメ公式XとInstagramの運用を行っている。チームが立ち上がったのは2023年頃であり、「SNSの重要度が増していく中でWebと両軸での盛り上げが必要だと感じ、注力することにしました」と藤井氏は振り返る。それ以前は、編集部の担当者1名がSNS運用を兼務する形で担い、特にXはWebサイトへの導線としてしか認識されていなかった。
上司を含め加藤氏と藤井氏の3人でSNSチームを立ち上げた際、アイスタイルではすでにSocial Insightを導入していた。SNS運用に力を入れるにあたって改めて分析ツールの比較検討を行ったというが、最終的にSocial Insightを継続して活用する判断に至った。その決め手は機能の網羅性だという。「UGCやアカウント分析だけでなく、キャンペーン機能も搭載されていたのが嬉しい点でした。1つのツールで幅広く活用できますし、分析が細かくできるのが魅力的です」と藤井氏。加藤氏も「フォロー&リポストキャンペーンやリスト抽出、AI分析など、私たちが欲しい機能が続々とアップデートされていくのも助かっています」と教えてくれた。
詳細な分析へのこだわりは、SNSの役割を社内に伝えたいという思いと結びついていた。もともとWebへの誘導がメインだったSNSアカウントを育て、自ら発信してUGCを創出するには、どの年代の人がどれくらい@cosmeについて発話しているかを、定量で示す必要があったのだ。
同様に、コラボレーション先の選定が定性でしか判断できないという課題があった。特にSNS上でコラボ先を探す際、タイムラインは個人の興味関心に最適化されるため、盛り上がって見えても、それは自分の中だけの世界かもしれない。
また、SNSチーム立ち上げ当時のキャンペーン実施は年2回ほどで「ほぼやっていないと言っても過言ではない状態だった」と加藤氏は振り返る。本格運用にあたって実施回数を増やしたいと考えていた同社にとって、Social Insightで実施から分析まで一気通貫で行える点は大きな魅力だった。
活用方法
施策の振り返りではクチコミ分析とAIトピック要約でUGCの数と中身を可視化。キャンペーンでは応募者リストの抽出やリポスト予約を活用し、アカウント分析の結果は社内外に展開できる
アイスタイルがSocial Insightを活用している場面の一つが、施策の振り返りだ。中でも象徴的なのが「@cosmeベストコスメアワード」(以下、ベスコス)に関連した企画である。「@cosmeはユーザーさんのクチコミをもとに立ち上がったサービスです。そのため、ベスコスを通じて支持を集めたコスメや愛されている理由を積極的に発信しています」と藤井氏。だからこそ、SNS上でどれだけUGCが生まれるかは、重要な指標だと言える。
そこで2024年に実施したのは、受賞アイテムをトレーディングカード化し、ユーザー自身が作成したオリジナルのコスメデッキを「#ベスコストレカ」として投稿してもらう企画だ。その振り返りにクチコミ分析を用いたところ、ユーザーの前向きな反応が可視化された。「発話量が定量でも取れますし、定性的な内容もしっかり見られます。テキストマイニングを見て『楽しい』が上位に来ていたので安心しました」と藤井氏。
一方で、投稿数は想定した数字にはつながらなかった。ここで効いたのがSocial Insightで得られる定量データだった。「定量指標があったからこそ、参加のハードルが高かったのではという仮説を立てられました」と加藤氏。そこで翌年の企画では、受賞アイテムとおみくじを紐づけたGIF動画を用意し、ユーザーはその画面をキャプチャして投稿するだけという形に変更した。「前回の施策では画像をダウンロードして、ツールに入れて貼り付けて、という手間のかかる作業が必要でした。それが2ステップほどになったので、格段にハードルを下げられました」と藤井氏は語る。その結果、UGCは前年に比べて20倍以上の数となった。
新たにリリースされたAIトピック要約も、UGCの振り返りに欠かせない機能となった。アイスタイルが「@cosmeベストコスメアワード2026上半期トレンド予測」として「超キラメロコスメ」を挙げ、SNSでプロモーション展開した際、実際にユーザーがどのような反応を示したのかをAIトピック要約で確認した。「SNS上では、ラメのアイシャドウやキラキラのグリッターなどが発話されていることが分かりました。ユーザーが思っているキラメロコスメの解像度が高くなり、何を押し出したらよりユーザーに刺さるのかがイメージできました」と藤井氏。加藤氏も「UGCを調べる工数もまとめる工数も減りましたし、示してくれた内容はそのまま社内にも共有できます。サマリーの解像度もとても高いと感じています」と教えてくれた。
また、同社はXでフォロー&リポストキャンペーンを定期的に開催し、Social Insightのキャンペーン機能を多用している。「応募者のリストの抽出が一番大変な作業ですが、Social Insightでは簡単に出力されます。特に、応募者の投稿日時も分かるのがありがたいです。いつ参加してくれたのかが分かりますし、どのタイミングでキャンペーンが盛り上がったのかを分析できます」と加藤氏。実際にキャンペーン後の分析では日時を指定して定量的な結果を確認しているという。加藤氏は「キャンペーンが終わった後も数値は変動し続けるため、以前は振り返るタイミングによって誤差が生じていました。指定した日時のデータを抽出できるようになったことで、正確な振り返りができています」と語る。
キャンペーンでは、Xでのリポスト予約機能も活用している。「事前にリポスト予約ができるので、土日や営業時間外などでもキャンペーンを盛り上げることができます。勤務中でも他の業務との兼ね合いでリポストを逃してしまうことがあったので、予約機能はとても助かっています」と加藤氏は教えてくれた。
アカウント分析からは、想定を超える発見もあった。「Instagramでリーチしている層やエンゲージメントしてくれている層を見てみると、想像よりも若年層が多かったことが分かりました」と藤井氏。Xも同様に、競合アカウントよりも若い層に支持されていることが明らかになった。
このデータは社内、社外の両方で活用できている。社内については、「ポストを作ってくれている他部署のメンバーに『この年代の人がよく見ているため、その人たちに伝わる言い回しで投稿を作りましょう』と伝えることができます」と加藤氏。社外に対しては、「営業の補足資料で『こういった層から支持されているアカウントです』と伝えています。実数なので自信を持って伝えられますし、リーチだけではなく、具体的なエンゲージメントまで言えるのは大きいですね」と藤井氏は語ってくれた。
成果・今後の展望
定量的な振り返りから課題を特定し、同一企画のUGCを20倍以上に増加。公式Xのフォロワーは2年で138%に増加し、現在は社内の複数部門へと活用が広がっている
Social Insightでの分析によって定量と定性の両軸でデータを捉え、ベスコスに関連した企画でユーザーの参加ハードルを下げた結果、UGCは2024年から2025年で20倍以上に増加した。「Xは拡散力が強いSNSなので、どれだけユーザーに発話をしてもらえるかに注力してきました。分析ツールとしてSocial Insightがなければ、ここまで大きな数字を作ることはできなかったと思います」と加藤氏は語る。
注目すべきは、この成功パターンが継続して再現されていることだ。「2025年にキャプチャを投稿するだけにした『おみくじ』が大成功したので、形式は変えず見せ方を『占い』にして再現しました」と加藤氏。定量的な振り返りは改善点を見つけるだけでなく、成功した要因を見極め、継続するための土台にもなっている。
日々の運用の効率化と定期的なキャンペーンの積み重ねはアカウントの成長にも表れ、直近2年間でアットコスメ公式Xのフォロワー数は138%へと増加した。かつて主観に頼らざるを得なかったコラボ先の選定も、クチコミ分析によって発話量や話題の内容を確認する形に変わった。「数値的根拠を持って判断できるようになったため、迷ったときの一押しや、最終判断がしやすくなりました」と加藤氏。
こうした一連の成果について藤井氏は「最も大きな成果は、定量で分析できるようになったことです。それがあるからこそ、自信を持って次の施策を打ち出すことができました。特にUGCを分析する際は、ツールがないと感覚的な調査になってしまいがちです。Social InsightはSNS運用におけるよき伴走者になってくれました」と教えてくれた。
アイスタイルにおいて、Social Insightの活用はSNSチームの枠を超えて活用されている。PRチームなど複数部門からSocial Insightを活用したいとの声が上がり、今後の活用に前向きな姿勢を見せているという。藤井氏は「社内では部署を超えて活用の幅が広がっています。これからもSocial Insightの詳しい分析とAI機能を活用してユーザーのエンゲージメントを高めながら、ブランド様への価値にも変換できるSNSアカウントにしていきたいです」と語ってくれた。
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