パソコン周辺機器をはじめ約20,000点以上もの製品を展開し、ITやアプリケーション、クラウドサービスなど、事業領域を拡張し続けているエレコム株式会社(以下、エレコム)。同社にとってSNSアカウントは、若年層から長年の愛用者まで、幅広い層の顧客と直接繋がり、ブランドへの親しみを持ってもらうための重要なコミュニケーションツールとなっている。現在の運用アカウントは自社ブランドにとどまらず、グループ会社であるテスコム電機株式会社も含め、合計17アカウントにまで増加した。運用規模が拡大し、XのAPI変更といったプラットフォーム側の環境変化も重なる中、人力でのアカウント管理やキャンペーン運用には限界があった。
そこでエレコムは、複数アカウントの一元管理と業務の効率化を実現するためにSocial Insightを導入。一元管理によるレポートフォーマットの統一や管理の効率化に加え、UGCの3.9倍増、フォロワー数の11倍増、そして商談への活用も実現している。ここでは、同社でSNS運用を担っているSNSチームに、導入の背景から具体的な活用方法、実際に得られている効果などについて伺っていく。
2019年にX担当氏がSNS担当に着任した当初は、エレコムのX、Instagram、Facebookのアカウントを1人で運用していた。当時のフォロワー数は1,000人規模であったため、手作業での運用でも十分に業務が回っていたという。しかし、アカウントの成長によるフォロワー数の増加や、グループ会社であるテスコムのアカウントも同チームで管轄することになり、管理の手間が増加していった。当時は週に1回ほど、管理画面からフォロワー数やインプレッション、エンゲージメントといった数値を手作業でコピーし、Excelに入力して管理していたという。
この手作業による管理には課題があった。SNSチームの人数が増える中、作成されるレポートのフォーマットや記載する指標が担当者ごとに異なっていたのだ。X担当氏は「折れ線グラフの指標をインプレッション数にする人もいればフォロワー数にする人もいるなど、フォーマットが統一されていませんでした」と振り返る。この状態に対し、社内からは「指標がバラバラで状況を把握しづらい」との声があがったこともあるようだ。
さらに、X(当時はTwitter)のAPI変更も現場に課題をもたらした。「特に影響を受けたのが、抽選キャンペーンの運用です。以前はTwitterがAPIを無償提供しており、無料の抽選ツールが多数存在していましたが、仕様変更に伴いそれらが利用できなくなりました。その後も名称がTwitterからXに変わるなどプラットフォーム側の変化が激しく、今後の見通しが立たないことへの危機感が、ツール導入のきっかけとなりました」とX担当氏は教えてくれた。
数あるツールの中からSocial Insightを選定した理由については、企業アカウント運用者間の口コミと、社内での決裁を通しやすいコストパフォーマンスの高さがあったという。特に、キャンペーンの抽選機能が充実している点や、フォロワーの推移を正確に追える点が魅力的だったという。「キャンペーンは成功した時と思ったような結果にならなかった時の差が大きく現れます。Social Insightを使えば振り返りがしっかりでき、キャンペーンを行うごとに改善策を打てると感じました」とX担当氏は当時の期待を語った。
導入後、エレコムのSNSチームはSocial Insightの様々な機能を駆使し、日々の業務効率化とデータに基づいたアカウント成長を実現している。まず実施したのは、17個にまで増えたアカウントの一元管理と、レポート形式の統一である。これまで担当者間でバラバラだったレポートのフォーマットは、Social InsightからPowerPoint形式で出力されるレポートに統一された。
Instagram担当氏は「新しく加入したメンバーもSocial Insightのレポート機能にとても驚いていました」と、レポートの充実さについて語る。レポート作成時間も、1アカウントあたり15~20分かかっていたものが半減したという。
Instagram担当氏が重視している指標が、フォロワーの「増加」と「減少」を別々にグラフ化される機能だ。「全体のフォロワー数が微増していたり微減したりしても、実は大きな増加と減少が組み合わさった結果ということもあります。増加と減少を別々に確認できることで、増減の理由がキャンペーンなのか、日常の投稿内容なのか、プラットフォーム上の動きなのかなどを正確に読み解けます」とInstagram担当氏は語る。Instagramのアプリ上ではフォロワーの総数しか把握できないため、この詳細な推移分析は施策の良し悪しを判断する上で不可欠になっている。
また、Social Insightでは過去のデータも分析することができる。Instagram担当氏は、テスコムのアカウントを引き継いだ際に、この過去データを分析できることが大きく役立ったという。「これまでどのような投稿をしてアカウントを伸ばしてきたのかが1画面で見られるのはとても助かりました」とInstagram担当氏は語った。前任者がデータを残していない場合でも、Social Insightを使えば過去のデータは一目瞭然だ。
この現在と過去のデータが分かることに加え、競合アカウントも分析できる機能をInstagram担当氏は積極的に活用している。過去にテスコムのアカウントが伸び悩んでいた時期は、特に分析に力を入れていた。「競合の伸びている投稿を参考にしても反応がなかった中、過去のデータを遡り、反響の大きかった投稿フォーマットを今のトレンドにアレンジして投稿したところ、大きな反応を得ることができました。現在の勝ちパターンとなっているフォーマットは、過去データの分析から導き出したものです」とInstagram担当氏は教えてくれた。「もしツールがなければ未だに低迷期を脱出できず、フォロワーが減少し続けていたかもしれません」と振り返るほど、データ分析は大きな成果をもたらした。
運用体制の面では、投稿管理機能の承認フローが大きな役割を果たしている。新しいメンバーが加入した際、承認フローを経由することで安全かつスムーズな運用が可能になった。X担当氏は「以前は投稿内容の確認依頼がチャットで送られてきて、それを確認して戻すという手間が発生していました。現在は、Social Insight上で承認フローを通すだけで予約投稿できるため、業務がスムーズになりました」と、承認から予約投稿まで円滑に行える点を強調した。
また、炎上を避けるためにも「AI投稿リスクチェッカー」を活用していく方針だ。「投稿内容を考える際、想定外の視点で炎上してしまうケースがあります。新しいメンバーも入ってきたので、今後はAI投稿リスクチェッカーの活用を仕組み化し、リスクを減らしていきたいですね」とX担当氏は考えている。
Social Insightの導入により、エレコムは大きな成果を上げている。導入前と比較してUGCは約3.9倍、フォロワー数は23,000から282,000へと約11倍もの成長を遂げた。
これらの成果をあげた背景には、Social Insightを導入して効率的に実施できるようになったキャンペーンがあるという。以前はXでのキャンペーンにおける抽出作業を手作業でCSVを出力し、関数を組んで実施していた。この業務にSocial Insightを活用することで、5~10分で完了するようになり、工数は50%ほどに半減したという。
それだけでなく、キャンペーンの投稿時間の最適化にもSocial Insightを活用しているようだ。「投稿の拡散がグラフ化されるので、投稿時間を意識するようになりました。以前は『なんとなくこの時間がいいだろう』という感覚でした。今では朝イチよりも夕方の方が見られることが分かったため、仕事終わりの人にも見てもらえる時間に投稿しています」とX担当氏は変化を語った。
Social Insightの分析機能は自社アカウントにとどまらず、他社との「コラボ提案」にも活かすことができた。ある企業との共同投稿企画が持ち上がった際、Instagram担当氏は相手方アカウントのフォロワー層をSocial Insightで分析した。その結果、当初の要望だったパソコン周辺機器を主とする「エレコム」のアカウントよりも、キッチン家電を扱う「テスコム」のアカウントの方が相手方のフォロワー層と親和性が高く、かつ競合しすぎない距離感であることを見出した。
「データに基づいた客観的な根拠を資料化し、『エレコムのアカウントよりもテスコムのアカウントで実施した方がより高い効果が見込めそうです』と提案した結果、先方にもご納得いただき、コラボレーションが実現しました」とInstagram担当氏は語る。自社だけでなく他社のアカウント状況も客観的な数値で把握できるからこそ実現した提案だと言えるだろう。
今後の展望として、エレコムのSNSチームはSocial Insightが提供する最新機能をさらに深く理解し、使いこなしていく考えだ。新たに実装された「AIトピック要約」機能についても、すでにトレンドの全体像を掴むために活用を始めており、今後はどのような話題がユーザーに刺さるのかを分析する材料として期待を寄せている。
X担当氏は「Social Insightの理解度を深めてさらなる業務効率化を図ることで、施策の幅が広がり、結果的にファンの増加にも繋がると考えています。効率化によって創出された時間は、ファンとの交流や新しい企画を考えるクリエイティブな時間に充てていきたいです」と語った。Instagram担当氏も「Threadsなどの新しいSNSプラットフォームに関しても、積極的にSocial Insightを活用していきたいと思います。全てのアカウントでより高度なデータ分析が可能になれば、さらに運用の質を高められると考えています」と見据えている。
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