キャンペーンの抽選工数を1時間から5分に削減。AI分析やインサイト分析で反響や属性を可視化し、データ起点のSNS運用を実現
スーツをはじめとするビジネスウェアを展開する株式会社AOKI(以下、AOKI)。同社にとってSNSは、商品やキャンペーンの情報を届けるだけでなく、店舗に足を運ぶファンを育てる重要なチャネルとなっている。公式アカウントはXで1つ、Instagramはメンズ・レディースの2つ、さらに店舗スタッフが運用する個人アカウントも約80に及ぶ。社内でSNSの重要性が高まる一方、以前は各SNSのデータを担当者が一つひとつ目で追い、Excelに月次でまとめることにとどまっていた。
そこでAOKIは、各SNSのデータを横断的に取得・分析できる環境を求めてSocial Insightを導入。今では、フォロワー増減やクチコミを毎日のメールで定点観測しながら、キャンペーン機能の活用によって抽選工数を1時間から5分に短縮している。SNS業務を効率化した結果、フォロワー数はXで117%、Instagramで156%へと伸長した。ここでは、同社の公式SNS運用を管理する販売促進部 コミュニケーション戦略課の島本氏に、導入の背景から具体的な活用方法、得られた成果などについて伺っていく。
チーフ 島本 晃太郎 氏
課題
各SNSのデータを目視でExcelにまとめることにとどまっていた。SNSを強化していく流れの中で、データを横断的に取得・分析できる環境が必要だった
島本氏のチームでは、会社全体のキャンペーンや注力商品の情報を発信する公式アカウントを運用している。投稿のネタ出しから制作までを担い、リスクや内容に問題がないかを上長が確認した上で投稿する流れだ。他にも、店舗スタッフが自身で考えたコーディネートを自社サイトと個人のSNSに投稿できる体制をとっており、そのアカウント数は80に及ぶ。
同社がSNSに力を入れる背景には、その存在感の高まりがある。島本氏は「ビジネスにおけるSNSの重要度は高まっています。社内でも発信を強化していくべきだという考えがありますし、店舗でも『インスタを見てきました』というお客さまの声があります。中には、SNSがきっかけで店舗スタッフにファンがつくこともあります」と教えてくれた。
しかし、以前は各SNSから得られるデータを担当者が目で追い、Excelに月次でまとめる程度にとどまっていた。複数のSNSを運用する中で、それぞれのデータを横断的に取得し、分析できるサービスの必要性は高まっていた。
Social Insightを知ったきっかけは、付き合いのあった他社のSNS担当者からの紹介だった。アカウントの分析はもちろん、キャンペーンの効率化やクチコミの分析まで活用できる点が決め手となり、導入に至った。初めてSocial Insightに触れたときの印象について島本氏は「投稿別のURL遷移数など、想像以上に幅広いデータを確認できることに驚きました。SNSキャンペーン機能では抽選や実績のまとめもできますし、発話されているキーワードを日別でまとめてくれるのも嬉しい機能です」と語る。
同社では、Social Insightの権限を島本氏だけでなく、SNSを運用している店舗スタッフにも付与している。「店舗スタッフには『まずは自分で触ってみてください』と伝えています。もし使い方がわからなければ、ユーザーローカルの担当の方がレクチャーしてくれるので、安心して権限を付与できました。スタッフ自身もデータを見られるようになって非常に喜んでいます」と、島本氏は手厚いサポート体制による社内展開のしやすさを語ってくれた。
活用方法
アカウント分析やクチコミ分析を毎日のメールで定点観測。AI分析やインサイト分析で反響や属性を可視化し、データを起点に施策の精度を高めている
AOKIはSocial Insightの様々な機能を日々の運用に取り入れている。まず欠かせないのが、フォロワーの増減を可視化できるアカウント分析だ。自社アカウントについては、直近の投稿がフォロワー獲得につながっているかを確認できるほか、急な増加にもすぐ気づけるようになった。「どのような投稿が大幅なフォロワーアップに繋がっているのかをすぐ気づけるので、ストーリーズから別の訴求をしたり、他の投稿へ誘導したり次のアクションに繋げることができています」と島本氏は語る。
Social Insightでは他社のフォロワーも同じように増減を確認できる。島本氏はこのデータを毎日メールで受け取る設定にし、日々のルーティンに組み込んでいるという。「たまに見るだけではフォロワーが増えた要因がわかりにくいので、手間をかけずに他社の状況も毎日確認できるのは助かります」と島本氏。
新たに実装されたAI分析機能で店舗スタッフのアカウントを分析したところ、小物の訴求や投稿文でのシーンの明示など、具体的なアドバイスを得られたという。「限られた時間で運用するスタッフにとって、すぐに改善のヒントを得られるのは嬉しいですね」と、島本氏はAI分析がSNS運用の効率化を促す手応えを感じている。
Social Insightのインサイト分析では、投稿を閲覧したユーザーの属性を詳しく把握できる。「これまではフォロワーの男女比を見てInstagramを運用していました。レディース向けのアカウントでは、女性のフォロワーが約7割ほどだったので問題ないと考えていましたが、実際のリーチを見ると約9割以上が女性でした。現状を確認できたことで、今の方向性で間違っていないと納得感を持って進められています」と島本氏。さらに年代別のデータは、今後の打ち手の参考になるという。フォロワーでは約1割ほどの45〜54歳がリーチでは約3割を占めるなど、伸びている年代が数字で可視化された。そこから、実際に投稿を見ている年代への訴求を増やすことも考えているそうだ。
クチコミ分析については、トレンドの把握で活用している。任意のキーワードや投稿数がメールで届く設定にしているため、ネガティブな声の発見や他社でバズっている話題、ビジネスウェアのトレンドの把握に役立っているという。「自分のXを見ていると、どうしても興味のあるものに偏ってきます。そのため、世の中で起きている声を客観的な数字として把握するのは大事です」と島本氏は語る。
クチコミ分析は、商品開発の部署へ声を届ける役割も果たしているようだ。例えば、女性服のポケットをめぐる話題は定期的にSNSで取り上げられやすい。島本氏は「商品へのニーズが拡散されている際には、商品部に共有していますし、反対に『この話題についてAOKIはどう言われているのか』と尋ねられることもあります」と語る。
加えて、テレビCMなどの反響を測る際には、AIトピック要約を活用している。島本氏は「興味関心や購入報告といった切り口で表示できるので、過去のキャンペーンと比べてどう変化したのかを経年で見ていくことで得られる示唆があると感じています」と、今後の活用を見据えている。
成果・今後の展望
キャンペーンの抽選工数は1時間から5分、2時間かかるデータ確認は一瞬で完了。日々の業務効率化により、フォロワー数がXで117%、Instagramで156%に伸長した
Social Insightの活用は、明確な成果となって表れている。中でも効果が大きいのが、キャンペーンの効率化だ。以前の抽選作業は、応募者が本当にフォローやリポストの条件を満たしているかを手作業で確認する必要があった。しかし、Social Insightの抽選機能を使えば、ランダムな抽選から条件の確認までを一気に行える。「リポストした投稿にもURLからすぐに飛べるので、条件を満たしているかを確認できる安心感があります」と島本氏。抽選作業にかかる工数は、1時間から5分にまで短縮された。
蓄積されたデータは、次のキャンペーンの企画にも活きている。実施期間や投稿数、投稿のタイミングを振り返りやすくなったことで、島本氏は改善を重ねてきた。「以前は1か月ほどかけて途中で一度リマインドする形でしたが、それでは反応が少なめでした。2週間と短くまとめて、『あと2日』『明日まで』と細かくリマインドしたところ、よりインプレッションが伸びるようになりました」と振り返る。
こうした最適化の成果は、広告費の観点でも表れた。あるプレゼントキャンペーンでは、これまでの実績をもとにした想定の倍にあたるインプレッションを獲得できた。これは、半分の費用で同等の成果を出せた計算になる。さらに、ほぼ費用をかけずに実施できることから、他部署から急にキャンペーンを依頼される場面でも、心理的なハードルを抑えて柔軟に対応できるようになったという。
日々の運用面でも、工数削減は着実に進んでいる。毎朝のメールでフォロワー数とクチコミが通知されることで、出社してアカウントを一つひとつ開く必要がなくなった。「同じ情報を手打ちで調べていたら、2時間はかかると思います。今はワンクリックで見られるので一瞬です」と島本氏。投稿においては、Xのスレッドにも予約投稿できる機能を活用している。「リンクを本投稿に貼るとインプレッションが落ちてしまうので、スレッドに『商品はこちら』と付ける形にしています。スレッドの投稿も予約できるので、その時間に別の業務が入っても投稿を逃さずに済みます」と島本氏は語る。
これらの積み重ねは、フォロワー数の伸びとなって表れている。2023年9月の導入以降、Xのフォロワーは117%増加、Instagramは156%増加した。「Social Insightで工数を削減でき、定期的に発信し続けられているのがフォロワー数を増やせた要因です」と島本氏は感じている。
今後、島本氏が見据えるのは、データを根拠にしたPDCAの高速化だ。「投稿ごとにしっかり数字を出して伸びたり伸びなかったりする要因を把握し、PDCAを早く回せるようにしていきたいです」と語る。伸びる投稿には「冒頭で商品が分かりやすい」「テンポよくいろいろなコーディネートが見える」といった共通点があるといい、そうした要素を抽出しながら試行錯誤していく構えだ。
その先に思い描くのは、お客さまに頼りにされるアカウントだという。AOKIが大切にする「信頼感」や「安心感」というイメージのもと、ただ商品を紹介するのではなく、お客さまの悩みに応える発信を目指している。「悩みの解決が商品に着地することもあれば、着こなしやお手入れの方法になることもあります。ただの商品紹介ではなく、見てくれた方の暮らしが良くなる視点を届けていきたいです」と島本氏は語ってくれた。
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